キャンピングカーのトイレ事情

まめ知識

キャンピングカーはクルマの中で過ごすための設備が充実しています。電気などは基本的な装備ですよね。その他にも、水道や換気扇、ベッドにテーブルや椅子などがあります。

おそらくキャンピングカーに乗る人であれば、このあたりの設備は、深く考えることもなく、メーカーの設定した仕様を受け入れるのではないでしょうか。

それでは、トイレはどうでしょうか。トイレは必要か? 考えてみると悩んでしまいます。クルマに付いていたとしても、どのように使うかは人それぞれのようです。

そこで、今回はこのトイレに注目してみたいと思います。

キャンピングカーのトイレにはいろいろな種類があります。設置するクルマのサイズ等などによって、トイレの種類も選ばれます。一般的なキャンピングカーのトイレといえばポータブルトイレ、カセットトイレ、汚水タンク式トイレの3種類といっていいでしょう。

他にも排泄物を特殊な袋に封入するタイプや燃焼させてしまうもの、簡易的な袋タイプなどもあるので、興味がある人を調べてみてください。ここではキャンピングカーの一般的なトイレについて説明していきます。

ポータブルトイレ

ポータブルトイレはコンパクトサイズで、スペースさえあれば、水回りの工事をすることなく設置できるトイレです。本体に水タンクと汚水タンクを装備しているので、単体で完結しているトイレシステムです。

手軽にトイレを設置することが可能で、他のキャンピングカーへ載せ替えることもできます。荷物などを入れたりするマルチルームが装備されているクルマであれば、そのスペースにポータブルトイレを置くだけで、トイレが使えるようになります。

水タンクと汚水タンクが一体型になっているので、便利な反面、容量が少ないという欠点があります。

カセットトイレ

ヨーロッパのキャンピングカーに多く設置されているカセットトイレは、汚水タンクがカセット式になっています。便座などのトイレ設備はキャンピングカーに固定されていて、汚水タンク(ブラックタンク)がクルマの外から取り外せるようになっている構造です。

トイレルームとして設置されていることが多く、手洗いのシンクなども一緒に設置されていることがあります。固定式で持ち運ぶことがないので、サイズにも余裕があり、扱いやすいのが特徴です。

設備としては大きくなるので、キャンピングカーに後付するのは難しいといえるでしょう。

汚水タンク式トイレ

北米の大型キャンピングカーに見られる汚水タンク式トイレは、汚水タンク(ブラックタンク)がクルマに備え付けになっているタイプです。汚水はダンプステーションと呼ばれる汚水処理設備にホースを接続して流します。国内ではあまり普及していませんが、RV先進国では公共のダンプステーションをよく見かけます。

見た目や使い勝手はカセットトイレと大きく変わりませんが、容量が大きいので、長期の旅行などで重宝します。汚水タンク式トイレはマリントイレと呼ばれることもあります。

欠点としては、システム全体が大きくなってしまうことです。また、汚水を処理できるダンプステーションが旅先で見つけにくいのも注意が必要です。自宅であっても、ホースが届かなければ処理できないので、庭にダンプステーションを設置している人もいます。

トイレの基本的な仕組み

トイレにはいろいろなタイプがありますが、基本的な仕組みは変わりません。シャッターの開け閉めや、トイレの水の流し方など、操作方法については各製品ごとに違いがありますので、ここでは省きます。

上記の3種類は、トイレを利用した後、タンクの水を使って流します。タンクの水は予め給水しておき、流された汚水はブラックタンクにたまる仕組みです。

ブラックタンクには事前に薬品を入れておくのが基本です。この薬品は、臭いを抑え、固形物を分解してくれる優れもの。流す水にも防汚剤を入れておけば、トイレはいつでもきれいな状態です。

時間が経つと、汚水は薬品によって分解され、薬品の色の液体に変わっているので、汚水を処理する抵抗感が軽減されます。

キャンピングカーにトイレは必要か?

キャンピングカーにトイレは必要か、という疑問を抱く人が多いと思います。国内を旅行しているのであれば、トイレを探すことは簡単です。公共のトイレも多く、コンビニエンスストアやモールなどのトイレを利用することもでできます。なので、トイレは必要ないのではと。

でも、トイレのない場所もあります。例えば、山の中で天体観測をしたいとなったら、トイレを借りることはできないので、クルマの中に設置しておいたほうがいいですよね。

また、公共のトイレを使いたくない時もあります。トイレが汚れている、夜間のトイレに抵抗があるなど。特に女性の方はこのような理由でトイレを設置する方がいらっしゃいました。

積極的に使わなくても、渋滞時の非常用に装備しているオーナーもいます。トイレを使うのは小のみという方もいたり、人それぞれです。

まとめてみると

トイレ必要派の意見

・いざという時に利用できる

・公共のトイレを利用したくない(並びたくない、汚い、怖いなど)

トイレ不要派の意見

・公共のトイレを利用すればいい

・汚水の処理に抵抗がある

・スペースがない

あたりではないでしょうか。

結局、トイレが必要かどうかも、使い方次第です。自分のキャンピングカーの使い方、いろいろなシチュエーションを考えた時の必要性などを考えて、設置を検討してみてはかがでしょうか。

(文:渡辺圭史)