タウンエースに集約されたコンパクトキャブコンのベース車両

まめ知識

コンパクトキャブコンのベースだったボンゴが生産終了

長年、愛され続けたマツダボンゴが2020年5月に生産を終了しました。キャンピングカーでは、マツダボンゴをベース車両にしたモデルも多く、ファンにとっては大きなニュースとなったかもしれません。

キャブコンで見てみると、マンボウ、アミティ、マッシュ、カービィーなどがボンゴをベース車両に使っています。

マンボウ
アミティ
カービィ

このクラスはコンパクトなボディで、扱いやす本格的なキャブコンとしても人気があります。トヨタのカムロードをベースにしたモデルに比べると、一回り小さく、運転のしやすいコンパクトキャブコンとして親しまれてきました。

ボンゴは生産終了しましたが、キャンピングカービルダーは自社で使う車両をある程度は確保してあるので、すぐに市場から消えてしまうことはありません。でも、いずれはベース車両となるボンゴを確保できなくなる日がやってくることになります。

コンパクトキャブコンのベース車両にタウンエースが注目される

そこで、コンパクトキャブコンのベース車両として有力視されているのが、トヨタのタウンエースです。マイナーチェンジでライトエースと統合され、タウンエースの呼び名になったモデルです。同クラスのクルマのエンジンパワーを見てみると

ボンゴ(旧型)

燃料無鉛レギュラーガソリン
排気量1,798 cc
最高出力75kw([102ps)/5,300rpm
最大トルク147N・m(15.00kgf・m)/4,000rpm

タウンエース

燃料無鉛レギュラーガソリン
排気量1.496cc
最高出力71kw(97ps)/6,000rpm
最大トルク134N・m(13.7kgf・m)/4,400rpm

日産NV200

燃料無鉛レギュラーガソリン
排気量1.597 cc
最高出力80kW(109PS)/6000rpm
最大トルク152N・m(15.5kgf・m)/4400rpm

以前のモデルでは、タウンエースをベースにしたキャンピングカーも多かったのですが、現行モデルへタウンエースがモデルチェンジしたときに、ボンゴへベース車両をシフトしたビルダーもありました。

実際、エンジンパワーだけを見るとタウンエースは少しパワー不足を感じてしまうかもしれません。日産NV200はパワーがありますが、キャブコンのベースとなる、後部が荷台のトラック車両がありません。キャブコンにするには架装のハードルが高く、ビルダーも積極的には採用しないと考えられます。NV200ベースのキャブコンはAtoZのアルファが販売されている程度です。

パワーをカバーする技術力

重量が重くなるキャンピングカーにとって、クルマのパワーに余裕があることは何かと有利です。だからといって、パワーだけでキャンピングカーを比較することはおすすめできません。コンパクトなベース車両の扱いやすさは魅力的でもあるからです。

そんなユーザーニーズに応えるためにも、タウンエースをベース車両に利用している各ビルダーは、ボディを軽量化して機動性を高めることに努めてきました。マイナスポイントを設計でカバーしているのです。レイアウトも簡素なモデルが多く、各社の工夫が見られます。

アレン
レジストロアウル
トム23
フィール

また、最新のタウンエースには夜間の歩行者を認識したり、ベダルの踏み間違えによる急発進を防ぐなど、安全装置がされています。この機能が順次、キャブコンにも採用されることになります。長距離を走るキャンピングカーにとって、非常にありがたい装備といえます。

サイズ、運転のしやすさ、価格など、コンパクトキャブコンで注目すべきポイントは多岐にわたります。使い方によっては、タウンエースをベースにしたモデルがちょうどいいというユーザーもいることでしょう。

コンパクトキャブコンの今後に注目

キャブコンのエントリーモデルとしても人気のあるコンパクトキャブコンですが、ボンゴの生産終了でモデルチェンジも多くなってくると予想されます。ボンゴベースのクルマがどのように進化するのか、今後が楽しみです。

ちなみに、ボンゴはフルモデルチェンジして、名前は残ることになりました。クルマはダイハツからのOEMで、インドネシアで生産されたグランマックスとなります。グランマックスはトヨタ向けにタウンエースとして供給されているモデルです。結局はまったく同じクルマで、すべてがタウンエースに集約される形となったのです。

文:渡辺圭史